今回は11月9、10両日の4試合を観戦。

11月9日 東京ドーム アジアシリーズGame3
チャイナスターズ(CBA)000 000 0 0
SKワイバーンズ(KBO)014 134 X13
   *7回終了時規定によりコールド
C:陳俊毅−張雲峰−劉凱−張力
W:

 

 

11月10日 東京ドーム アジアシリーズGame5
チャイナスターズ(CBA)100 000 000
中日ドラゴンズ(NPB)000 012 60X
C:呂建剛−陳坤−王培−張力
D:小笠原−鈴木−高橋

 

 

 チャイナは私の観戦できなかった初戦、6回まで統一をヒヤヒヤさせた模様。先発は中国野球を知る大方の
人の予想を裏切ってト濤。しかしこれまた意に反して好投してくれた模様。ついで出てきたのが、先発に違い
ないと多くの人が思っていた陳坤。スピードはないが、しっかりカウントをつくれるピッチャーなので。とこ
ろがこの陳坤がたった1イニングで退くと、後続は統一のつるべ打ちにあう。徐[山争]は、今季国内リーグ
での登板は0ながら実績を買われて代表入りした投手。しかしその投手に3点リードの終盤戦はいきなりプレッ
シャーが大きすぎたのではないか。あらかじめ登板投手を決めて杓子定規に投入する「アメリカ式」におおい
に懐疑を抱かざるを得なかった。

 翌9日から観戦。SK戦はいいところもほとんどなく終わる。敗因は守備であった。特に連繋がわるい。半
端なところへとんだ打球を誰がとるのか。カットは入るのか。誰が入るのか、などなど。内野フライがツーベー
スになってしまうような有様だった。今年はコールド負けはない、そんな心配よりも試合内容に一喜一憂できる、
と思っていただけに痛かった。しかし一番孫嶺峰がムチャ振りをせずに叩いてゴロを打ってヒットにしたのは
よかった。やはりバッティングは「役割」と「身の程」を知ることだと思う。先発は陳俊毅。今年の最優秀左
投手。WBCにも出場していて、悪い選手ではないのだが、やはり三本柱(呂建剛、張力、陳坤)にはおよば
ない。もっとも張力は9月の遠征を見ているかぎりではリリーフにまわるような予感もあった。そしてコール
ドの見えてきた7回2アウトから張力登板。守備に足をひっぱられたがなんとか1/3イニングをおさえる。この
とき、ラフィーバーは明日の中日戦に三本柱全投入を考えているのではないか、昨日と今日の陳坤、張力の起
用法はそう思わないと説明がつかない、と考えた。

 10日中日戦。当初はここが番狂わせの大チャンスではないかと思っていた。例年、2勝した日本代表がメン
バーをおとしてかかってきたからだ。そして二年ともそこそこの点差でゲームをしている。しかし中日は初日、
SKに敗れた。メンバーをおとしてくることはない。そのうえチャイナは昨日大敗。どうなってしまうんだ…?
 先発はこんどこそ期待を裏切らずに呂建剛。私は04年から毎年呂建剛の登板を直に見る機会を得てきたが、た
しかに目下(ケガで出てこられなくなった王楠をのぞけば)中国では疑いなくナンバーワンの投手である。相手
先発は小笠原。両者、年齢は違うが、おなじ99年の入団である(ただし呂建剛は98年に練習生として在籍してい
た)。きっとファームのナゴヤ球場で一緒に練習していたのだろう。
 その呂建剛。140キロを越えるストレートは鳴りを潜めていたが、カープ、シュート、フォークを織り交ぜた
ピッチングで中日打線に凡打の山を築かせる。他の中国投手も変化球は投げるのだが、呂建剛はまたちがう。ひ
とつはストライクがきちんと投げられること。あたりまえのことだが大事なことである。ストライクがとれるか
らこそ、変化球にも手を出し、打ち損じてくれる。「どうせボールだよ」と思われれば簡単に見逃され、カウン
トをわるくする。そこで変化球をつづければ歩かせてしまうし、ストレートに頼れば打たれる。また、呂建剛は
フォームが安定している。だからカーブもよくまがるし、なによりリリースまでは球種を読まれない。
 それはわかっていたのだが、ウッズ、谷繁をはずした程度の中日打線が早いカウントから手を出し、バタバタ
と打ちとられていくとは思わなかった。例年守備から崩れていったことを考慮してか、セカンドにベテラン劉広
標を起用した策もあたった。ショート張玉峰は去年の不調がウソのように好守を連発。たしか前半5イニングで
5つはさばいたと記憶している。打撃不調が守備にも影響するまじめな選手で、いつも心配してみていたが、こ
のときばかりは「2年前の張玉峰が帰ってきた!」と叫んだ。04、05年と上海で観戦していたころは間違いなく
一流の3番ショートだった。それに触発されてか、サード孫[火韋]までもがエキサイトシートに飛び込みそう
なファールフライをキャッチ。立派だった。
 しかし国内でも呂は5回以降のスタミナ不安をかかえている。初回に一点とったきりの打線ではこころもとな
い。これ以降、内野守備重視のオーダーが裏目に出ることになる。俊足で意外性のある外野手・李磊が出ていな
い。李磊は守備がよく、夏の遠征ではセンター孫嶺峰と鉄壁の左中間を形成しつつあった。しかし代表では普段
セカンドの侯鳳連もバッティングはいいからはずせず指名打者になり、普段指名打者の張洪波がレフトに入った。
この打線がなかなか機能してくれない。そうこうするうちに5回、井上のソロで同点に。しかしこの回は先頭打
者にソロを打たれたにも関わらず、その後の3人はおさえた。やはり並の投手ではない。それでも試練は終わら
ない。つづく6回にはなんと荒木のホームラン。動揺したか、井端にも死球。このふたりもファーム時代を呂と
ともにした選手である。結局この回2失点。

 そして魔の7回の6失点である。
 好守を連発していた張玉峰、劉広標がミス。1アウトで降板した呂につづく陳坤の球速のおそさ、それに孫
[火韋]、張洪波の守備の不安定さにつけこみ、中日の右打者はみな強引にひっぱる。三遊間、三塁線をつぎ
つぎに抜かれる。張洪波はあせったのかクッション処理をあやまりランナーをすすめてしまう。張玉峰は三塁
方向を意識しすぎ、左よりのゴロに反応できずヒットにしてしまう。悪循環がはじまった。王偉、李濤不在で
キャッチャーをまかされた張振旺は、キャッチング技術が未熟でかなりぽろぽろやった。序盤、無死ランナー
なしの場面でよく落としていた。特に高めのストレートと低めの変化球がいけない。低めの変化球はいわゆる
「虫とり網」で、上からミットをかぶせてとろうとし、球をそらす。張振旺はNYヤンキースのマイナーに所
属する。たしかにアメリカには腰高で、そういう捕球をするキャッチャーがおおいが、よくないところを学ん
でしまったのか。ランナーいないならいいじゃないか、ということではない。そういう場面でキャッチングの
あまさを見られることで、あちらに走塁をからめた作戦を実行しやすくさせてしまうのだ。実際この大事な場
面でよく走られた。変化球が生命線の陳坤だけにやりにくかったろう。しかしそんななかでも四死球がなかっ
たのは立派だった。ストライクがとれれば野球にはなる。少し難を言えば「決め球」というほどのボールがな
いことだが、今回はめぐりあわせが悪すぎたとも言える。守備のリズムがよければ、実際5回まではしっかり
投手をもりたてる守備があったのだから、なんとかなるはずだ。
 陳坤から王培をはさみ、コールドの足音の聞こえてきた9点目が入るとついに張力が投入された。もっとは
やくてもよかったかとも思うが、とりあえず予想通りである。張力はここから8回ウラまで1回1/3を投げ無失
点。ストレートと落ちる球(スライダー?)を低めにあつめた安定した投球。8回は二者連続、荒木は三球三
振であった。やはり三本柱はちがう。
 9−1は惨敗というかもしれないが、昨年や一昨年とは対戦相手のベンチのうけた印象はことなると思う。
極端な言いかたをすれば、以前は自滅をまっていればなんとかなったものが、今年はきちんと「野球」をやら
ねば勝てなくなったということだ。事実中日は必死にチャイナの弱点を探し、キャッチャーと三遊間、レフト
と決めてかかり、足をまじえて攻め、ようやく7回の猛攻にいたったのだ。ただ気持ちよく打って走っていた
だけなのではない。ピッチャーはきちんとストライクを投げるし、ピッチャーのリズムがよければ野手もきち
んとまもる。その乱れを誘うまでに6イニングかかっているわけだ。この試合は野球をやって負けた。統一と
のゲームも、まぐれではなかったことは明白だ。負けは負けだが、年々確実に強くなっているという印象が間
違いではないことを証明してくれた一戦だったと私は思っている。
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