ワールドベースボールクラシック2009強化試合
 中国−読売ジャイアンツ

TN R
Giants 916
China 22
投手
G東野(3・0)−○栂野(2.1・2)−古川(0.2・0)−金刃(2・0)−越智(1・0)
C●呂建剛(3・1)−ト濤(2.2・1)−陳俊毅(1.1・2)−李韋良(1・1)−陳坤(1・0)
本塁打
G田中(6回ソロ・ト濤) 坂本(7回2ラン・陳俊毅)
C楊洋(6回2ラン・栂野)
二塁打
G円谷 中井 田中 脇谷
C侯鳳連
四球死球犠打三振盗塁失策暴投捕逸失点自責点
G0228300022
C20015141095
3時間4分

 すっかりコーチの張玉峰

 WBC本戦に向けた強化試合の一戦目。本戦での投手起用が最終的に決まる場であり、また代表経験の浅い選手たちをふくむチーム
をどう機能させるかの重要な試験の場でもある。そんななか、オリンピックにも出場し、代表の主柱たるべき張玉峰がすっかりコーチ
役におさまってしまっているのが不満である。せめてWBC後に専任コーチに、と思っていたのだが…。

 先発投手は呂建剛。代表の常連であり、幾度も好投を見せており、今回も代表の主軸投手となることは疑いないが、これまではチー
ム事情からロングリリーフとして待機することが多かった。監督も代わり、今大会では先発投手として起用されるのだろうか。中国代
表チームの現時点での実力、WBC特有の球数制限を考えれば、呂建剛のように長いイニングを投げられる好投手はどんどん頭からつ
ぎ込んだほうがよい。特に今大会は負ければ2試合で終わってしまう。出し惜しみをしなければならぬ理由はない。まずはコリンズ監
督のファインプレーと言っておこう(当然のことをしただけか?)。
先発の呂建剛 

 呂建剛の調子はあまりよいようには見えなかった。球速は遅くなったものの左右に変化球を散らすあいかわらずの投球術だが、ボール
が先行する苦しいピッチング。しかし、低めに集めていることもあり、痛打は少ない。2回、先頭の李にヒットを浴びたものの、次打者田
中には高めのストレートを混ぜ、注文どおりのセカンドゴロダブルプレー。セカンド劉広標、ショート張雷(Ray CHANG)の連繋もまず
まず。劉広標の送球はややセンターよりにそれたものの、張雷がうまく処理。張雷は上体の強い選手のように見受けられる。調子が悪い
ながらも3回1失点でまとめたことは、相手が一軍半とは言えど、さすが。しかし工藤に対して内角のスライダーを二打席続けて膝にぶつ
けてしまうなど、コントロールの乱れが心配。本戦には本調子にもどっていてほしい。

 しかし二番手以降の投手は不安材料だらけであった。二番手ト濤も代表の常連、あわよくば左の先発も狙おうかという投手であったの
だが、打ち込まれた。ピッチングスタイルは以前とは変わっていないのだが、クリーンヒットをたてつづけにあびる。走者から見てモー
ションの盗みにくい投手で、牽制でランナーを釘づけにするなど、実戦向きの力も見せたのだが、せっかく牽制にかかって飛び出した走
者を一塁への牽制悪送球で二塁へ行かせてしまうなど、詰めの甘さがもったいなかった。三番手は陳俊毅。こちらもオリンピックなど代
表経験は浅くない。しかし、今日は打球がとにかくよく飛ぶ。球に力が伝わっていないかのようであった。味方のエラーに足を引っ張ら
れたのは確かに不運であったが、この出来では中継ぎ、ワンポイントでも厳しい。経験の豊富な投手だけに惜しい。
ト濤 陳俊毅

 四番手李韋良も、三連打に捕手・楊洋のミスが重なり一失点。左投手がみな不安な内容であったのはかなり苦しい。
 9回に陳坤が登板。先発候補の一角と見ていた投手だが、今大会ではリリーフ待機ということだろうか。アジアシリーズ、オリンピッ
クと代表常連の右腕。もともとコントロールのよさは持ち合わせていた投手だが、今日はボールのキレもあった。変化球も従来のカーブ
に加え、落ちる球(フォークかスライダー)もよくコントロールされており、寺内、中井、実松の下位打線とはいえ三者空振り三振の好
投。最後の最後にようやく一人リリーフのめどがついたのは大きかった。先発のできる投手だけに、早いイニングからロングリリーフの
つもりで起用してほしい。

陳坤

 野手では、初代表選手、代表経験の浅い選手に注目した。
 特に注目されたのは初代表、中国系アメリカ選手で現在AAA級でプレーするRay Chang(張雷)。張玉峰を引退状態に追い込んでの
4番ショート起用はその実力と期待の高さを表すものと思われた。実際守備では上体の強さから少々悪い体勢からでもほぼ正確な送球を
見せるなど、軽快なところを見せてくれた。しかし、落胆したのは打撃。第一打席、初球、二球目の見逃し方が異常(と言ってよいと思
う)。まったくヒザ、腰に力の入っていない、いわば棒立ち。そういえばむかし駒田が0−2、0−3で打つ気のまったくないときにこ
んな見逃しをしていたものだが…。スイングも上体だけでつっこんで振る。当然打球も飛ばない。三振と、栂野にバットをへし折られて
のピッチャーゴロ。守備は見られるのだが、4番はどうか…?しかし代わりはどうしようか…。

 オリンピックでゲーム中に負傷した王偉に代わり急遽マスクをかぶった楊洋は6回に登場。打撃では栂野からホームランを放つなど、
非凡なところを見せた。スイングもなかなか鋭い。しかし、守備では経験の少なさから来るものか、焦りからなのか、凡ミスを犯す。走
者一三塁からの二塁盗塁の際にセカンドへ偽投を見せたものの、ボールが手につかず、ボールはあらぬ方向へ…。本戦ではより緊張感が
高まるであろうが、なんとか落ち着いたプレーを期待したい。
楊洋

 守備の乱れといえば、?夫佳もあげなければならない。強烈なファーストゴロをさばいたものの、そこからゲッツーをあせったか悪送
球。ほかにもライト馮飛と内野との連繋の乱れ、サードに入った張伏佳の出場早々のエラーなど、守備が投手の足を引っ張り、ますます
リズムが悪くなるという悪循環を呈してしまった。サード張伏佳、ショート王靖超は、本戦でのさまざまな場面を想定して普段あまり守
らないポジションを守らせたのであろう(これ自体はたいへんよい)が、それにしても地に足が着いていなかった。

 打撃はほとんど見るべきものがなかった。相変わらず「打線」が形成できていない。無理に打ちに行って打ち上げてしまう選手が多すぎた。
特に以前の常連、張洪波、李磊、張玉峰や、所属チームでは活躍している楊国剛、劉志成などがいないだけに、大物打ちは期待してはい
けない。とにかく出塁し、なんとかして次の塁に進む、地道に展開していくしかない。
 そんななかで、代表不動のトップバッター・孫嶺峰の健在ぶりは一服の清涼剤(言いすぎ?)。第一、第二打席こそ有利なカウントから
手を出して凡退したものの、第三打席は2−3から10球連続のファール。その中には打ちにいって結果ファールだったものもあったが、
きわどい球はことごとくファールにする。簡単に見逃してカウントを悪くしたり三振したりする打者が多かっただけに、見ていて力の入
る場面であった。結果四球を得、さらに盗塁。ここで二番打者が機能すればチャンスを作れる打線になるはず。
 はじめて見た選手では途中出場の張小天。江蘇希望之星からの代表入り選手である。この選手もしっかり手を出す。見逃し三振を簡単
にはしない。特に、ランナーをおいて繰り返し出されるエンドランのサインに、ヒットは打てなかったものの右方向へのファールを打つ。
ベンチの信頼もうかがえ、今後に期待のもてそうな選手であった。
 打者・張小天 走者・孫嶺峰

 なにはともあれ、WBCははじまったばかり。まだ東京ドームへの慣れ、雰囲気への適応などといった解決可能な問題も多かろうし、
これから徐々に平常の力をさせるような状態に調整していくことを期待する。実力を出し切らないまま終わっては、せっかく代表として
来たのにもったいない。普段どおりの能力でどこまでやれるから測ってもいらいたいし、そんなゲームを見せてほしい。 (了)   inserted by FC2 system