ワールドベースボールクラシック2009アジア一次ラウンド
 3月5日 日本代表−中国代表

TN R
China00000000 05
Japan003001000 45
投手
●李晨浩(3・3)−陳俊毅(2.0・0)−孫国強(2・1)−劉凱(1・0)
○ダルビッシュ(4・0)−涌井(2・0)−山口(0.2・0)−田中(0.1・0)−馬原(1・0)−藤川(1・0)
本塁打
村田 3回2ラン
二塁打
青木 稲葉
四球死球犠打三振盗塁失策暴投捕逸失点自責点ボーク
10050211441
10042000000

 両軍とも決め手に缺くゲームであった。ともに拙攻つづき、走者を出してもあとがつづかない。そんななか、中国投手陣は8四球を
与え、バッテリーエラーが2つ、ボークも1つ、野手陣も2つのエラーなど、守備面で多くのミスを犯す。対する日本投手は四球1つ、
エラーはなし、と、ロースコアのゲームでは守備のミスの多いほうが負ける、ということばどおりのゲームとなった。「日本が勝った」
というよりは「中国が負けた」というほうが正確なゲームであったと言えるだろう。試合前にはメディアの取材に対して、「なんとか
接戦に持ち込み、9回まで緊張感を味わわせてほしい」と答え、実際にロースコアのゲームになったのだが、満足感はほとんどない。
あれだけ拙攻の日本に何度もチャンスをやり、とうとう点をうばわれ、中国側はまったくつけこむスキを見出せなかった。もっと失点
を抑えられた、あわよくば…という気持ちから来るものだろう。しかし、点差から見れば戦前の予想よりもはるかによい結果だったこ
とは認めなければなるまい。

楊洋、トスあげてる場合じゃないよ、打線はあんたが頼りだ
(打っているのは張小天)
張玉峰、バッティングピッチャーやってる場合じゃないよ
頼むからショートやってくれ


早稲田実業の甲子園優勝投手

 強化試合からコントロールにまだばらつきのあったダルビッシュ、
今日のゲームは先頭打者・孫嶺峰がダルビッシュのボール球に手を出
さず、ファールで粘って球数を消費させることが最初の鍵と思って
いた。

【投手ダルビッシュ 打者・一番孫嶺峰
 セカンド岩村 ファースト小笠原 ライト鈴木】

 ところが孫嶺峰は2球目をピッチャーゴロ、二番侯鳳連も2球目を
サードゴロ、三番Changはやっぱり(?)見逃し三振。この淡白な
打撃で日本を勢いづかせてしまうのではないかとも思われた。
 一回裏、日本は先頭のイチローが2球目をファーストゴロで凡退
したが、中島が四球、青木がツーベースであっという間に二三塁。
李晨浩は今日も高めにうくボールが目立つ。
 しかし今日はここで崩れなかった。稲葉を空振り三振、村田はラ
イトフライ。なんとこのピンチを無失点できりぬけた。
 2回も先頭の小笠原をセカンド劉広標のミス(記録はライト前ヒッ
ト)で出してしまい、つづく福留には1球も振らずにボールを見られ
て四球でピンチをまねく。
 ところがここで城島の打球を劉広標がさばいてダブルプレー。先の
ミスをひきずることなく、すぐに本来の守備をとりもどしてくれた。
劉広標は守備の要、こうでなくては中国隊は成り立たない。
 なおもランナーを三塁に残したが、9番岩村もセカンドゴロでなん
とこのピンチも無失点。日本側スタンドの拙攻へのいらいらが伝わっ
てくると同時に、ここで先制点を入れればあるいは…とも気持ちも出
てくる。
 しかしそれでも李晨浩は立ち直れない。3回、ふたたび先頭のイチ
ローをサードゴロに抑えるが、中島にまたしても四球。中島は張振旺
のスキをついたディレードスチールを決める。打撃も好調、守備も安定している
楊洋をなぜ起用しないのか、疑問だらけである。

【投手李晨浩 打者・一番鈴木
 セカンド劉広標 ファーストChu(衣扁に者)夫佳 ライト馮飛】

 そしてとうとう青木につまりながらもセンター前に持っていかれる。つまって
打球があがったこともあるのだろうが、なんとセンター孫嶺峰が目測をあやまり、
ハーフバウンドの半端な捕球体勢に入り、これをそらしてしまう。ライト馮飛がカ
バーリングに入るも、中島ははやホームイン、青木も三塁まで行ってしまう。青木
を三塁に行かせたのはなんとも余計であった。それを犯したのがさきの劉広標につ
づいて外野の守備の要・孫嶺峰だということも不安を大きくさせる。孫嶺峰は強化試
合の2戦目の終盤から、外野飛球の見極めが急におかしくなった。いったいどうなっ
てしまうのか。
 5番稲葉の打球はピッチャー李晨浩へ。李晨浩はとりそこねるも、ショートChang
がひろい本塁へ、青木を本塁で刺殺してなんとか二死に持ちこむ。村田には初球パス
ボールで稲のを二進をゆるすも、空振りふたつで2−2。徐々にコントロールもまと
まってきたよう。勝負の5球目は外角いっぱいに……。しかし判定はボール。2−3
となり今度はまんなか低めにストレート。村田は泳いだスイング。しかし打球は飛び
に飛んでレフトスタンド前列に飛び込んでしまった。2ランホームラン。2−3から
投げたボールとしては李晨浩は責められない。ここは悔しいが、あそこまで飛ばした
村田をたたえるしかあるまい。
【2回無死一二塁 打者城島】
【3回一死三塁 三塁走者青木】

 一方の中国打線は4回までダルビッシュに抑え込まれる。ダルビッシュも時おり抜けた球があるなど、ボール球も少なくないのだが、
待ちきれずに手を出してしまい、凡打になる。かと思えば2ストライク以降のきわどい球を見逃して三振になることもたびたび。外角
を見逃しての三振がおおい。これはダルビッシュ以降の投手に対してもおなじ。球審は外角はやや広くとっているようだ。それならば
2ストライク後の外角球はどんどん手を出していかなければならないのだが、それができていない。打者同士、あるいはコーチからの
情報伝達はどうなっているのか。結局ダルビッシュには球数を多く投げさせることもできず、4回46球無失点での降板を許してし
まった。
 中国は4回陳俊毅を送りこむ。李晨浩は球数が多すぎた。
 強化試合で打ちこまれた陳俊毅。この日もコントロールはよくない。しかしおおきなカーブがまずまず決まり、強化試合よりは勝
負ができそうな雰囲気ではある。四球とショートゴロで一死一塁となり、9番岩村もショート後方へのフライ。ところが、飛球の追
いかたも頼りないRay、走りながら半端にさしだしたグラブの先に打球が当たってはね、球は転々とレフト線方向へ…完全なる凡ミス。
投手ががんばると野手が足を引っ張る最悪のパターン。一死二三塁で打者はイチロー。日本にとっては願ってもないチャンス。しか
しイチローの打球はセカンドへ。ここで内野でもっとも信頼できるところへ転がしてくれたのは天佑であった。三走城島がつっこみ、
ホームでダッチアウト。二死二三塁となり、中国ベンチは中島敬遠を指示。となりにすわる中国人留学生に問われたので、「次の打者
のほうが抑えやすいと考えて勝負を避けた」と説明したが、ただ打者の左右で決めているようにしか見えない。よくも悪くも打者への
先入観がない(単に研究不足とも言う)。考えてみれば、コリンズ監督が本当に「よく知っている打者」はパで何度も対戦していた中
島、稲葉ぐらいしかいないのである。コリンズ監督は中島にいやなところでやられたイメージが強いのだろうか。
 二死満塁となって青木。初球を叩いた鋭い打球が一塁左へ飛ぶ。やられた、と思ったところが、なんとファーストChu夫佳が横っ飛
び、タイミングはぴったりと合い、ファーストライナーとなった。守備がまねいたピンチを守備が抑えたことになる。悪くない流れ。
 5回から日本の投手は涌井。こちらのほうが
ダルビッシュよりもコントロールが安定。四球を
待つこともできず、中国打線は苦しむ。5回先頭
の馮飛はセンター前にヒットを打つが、つづく王
超は(いつもと違い)右方向へ打つ工夫を見せる
も打球はセカンド正面で注文どおりのゲッツーに。

【一塁走者・中国代表の今日の初安打馮飛
 打者・王超 投手・涌井】

 5回陳俊毅は稲葉、村田、小笠原と相対し、日
本を今日はじめての三者凡退に抑える。この流れ
のなかで6回表中国は、下位打線とはいえ三人と
もなすすべもなく凡退。張振旺はまたも外角に決
まる球を見逃しての三振。
 せっかく相手の攻撃が停滞しているときにこういうことをしているとまた相手に流れがいってしまうもの。
 6回裏、先頭の福留に四球を出したところで陳俊毅は降板。強化試合に比べ、期待以上のピッチングはしてくれたとまずは言って
おいてよいだろう。7日のゲームにも投げる可能性はあるだけに好調を保ってほしい。
 代わって登板したのは孫国強。こちらは強化試合では好成績であった。右打者外へのスライダーがコントロールできずにキャッ
チャーがとり損ねることが多いのが不安材料。
 孫国強は登板早々ワイルドピッチで走者を二塁に進め、結局城島に四球で無死一二塁。ピンチを広げてしまう。しかし9番岩村
は2−1から見逃し三振。これが中国投手今日2つ目の奪三振。変則投法だけに登板早々はやはり打ちにくいのか。ほとんどタメ
のないフォームだが、球速も意外に出ていると感じるのだろう。
Chu夫佳。明らかに投手への反応が遅い
孫国強

 ここで打順は一番にかえるが、イチローに対しては初球からストライクを連投。ファールで粘られるも2−0からショートゴロに
打ちとる。Rayが捕球後に球を握りなおしそこねたこともありダブルプレーはとれず、二死一三塁。つづく中島への初球。一塁牽制
がなんとボークにとられ、走者がそれぞれ進んで1点。おそらく投球動作を途中で変更しての牽制ととられたのだろうが、なにもこ
こで…。やらずもがなの1点であった。中島は三ゴロに倒れただけにもったいない。
 7回、日本は山口が登板。先頭孫嶺峰が追いこまれてからのスライダーに食らいつき、
バットを投げ出すように当て、打球は村田の頭上を越えての内野安打。いやな点のとら
れかたをした直後だけにここから反撃したいところだが…侯鳳連の打球はセカンド正面
のダブルプレー。

【投手・山口鉄也】

 ここで投手は田中に交代。
 Rayは田中の速球にドンづまりの打球も、センター前に落ちてヒット。腕力はたしかに
ある。それにしてもゲッツーのあとのシングルヒットはもったいない。馮飛はショートゴ
ロに終わり、結局無得点。1イニング2本のヒットを生かせない。

Chang Ray(投手・田中)
馮飛

 孫国強は7回も続投。稲葉には外角真ん中に入った球を左中間に運ばれてツーベースを打たれたが、青木と村田からは空振り三振
を奪うなどまだ好調。特に村田には一死二塁でカウント0−3から三球で三振に持ちこんだ。相手が打ち急いでいること、変則投法
であることを差し引いても好投と言ってよかろう。小笠原もレフトフライでスリーアウト。

孫国強を打ちあぐねる日本打者陣
青木
小笠原

   8回表、投手は馬原。次第に中国の打者も振れてきたのか、積極的に打ちにいく。それはいいのだが、ボールが先行しているカウ
ントで無理に打ちにいかなくてもよいところで投手を助けていることも否めない。王超はショートゴロ。セカンド左への打球だった
が中島がなんなくさばく。

 劉広標の打球は今度は三遊間深くへのゴロ。
中島がなんとかおいつき一塁へジャンピング
スローも及ばず内野安打。国際試合で格上の
投手を相手にするにはこうして弱いあたりで
も野手のとどかないところへ転がしていくこと
も必要だろう。
 7番Chu夫佳はセカンドゴロで二死一塁、8番
賈徳龍の代打・陳浩は鋭いライナーを放つが、サー
ドライナーに倒れてスリーアウト。
 8回裏は劉凱が登板。強化試合で好投を見せた
左腕だが、先頭福留には四球。今日の福留は4四
球。代走片岡はすぐさま盗塁。張振旺はセカンド
へ大悪送球。センターまで送球が抜けてしまう。
登板早々の不安定さ、盗塁をまったくふせげない
ことには不安が残るが、城島、岩村、イチローは
凡退し、いよいよ9回を迎える。
劉凱

 9回は予定通り藤川。中国は張振旺の代打に楊洋を送る。右打ちの捕手の代打に同じ右打ちの捕手を送ることにはやや異論もあ
あるが、楊洋はぜひ起用してほしい好選手。なぜスタメンでなかったかと思うほど。
 その楊洋はあいかわらずのいいスイングで、ストレートに振りまけず、一二塁間のまんなかを抜くヒット。今日の安打のなかで
はもっともよい当たりであろう。
 しかし孫嶺峰はセンターフライ。あさってまでに本来の打撃をとりもどして
ほしいもの。
 侯鳳峰はピッチャーゴロ。ゲッツー崩れで一塁に残る。
 二死一塁でChang Ray。2−2から低めのフォークにハーフスイングで三振。
本人は完全に止めたつもりらしくきょとんとしていたが、空振り三振であっさ
りゲームセット。最後も手玉にとられてしまった。

 冒頭にも書いたが、結果から見れば「善戦」と言われてもよいゲームである。
しかし、これでも不完全燃焼の感はぬぐえない。それは、本来ミスをするはず
のない選手がミスをしてしまったことも含むであろう。逆に予想外の好プレー
もあった。ライト、レフトの守備力は確かに向上していたし、張振旺のワンバ
ウンド投球への対応もよくなった。しかし、それでもなお、まだまだこれはこ
のチームの本来の形ではない、という気がする。できるはずのことができてい
ない、本来のチームの力を出し切っての負けではない。
 陳俊毅、孫国強、劉凱らがそれなりのピッチングを見せたのは好材料。また、
凡退はしたものの、相手投手の力量を見るや、ムチャ振りをやめて右方向や野
手の間へのゴロ打ちをねらった打者がいたことも、結果は悪かったけれども、
次戦につながるものであった。
 好材料をあげてもあまり強気になれないのは、やはり打つほうでは日本がミ
スしていたというイメージが強いからであろうか。
 しかし次戦に向け、「それなりにやれるではないか」というイメージを選手
自身や相手チームが持ったことは事実だろう。このイメージに乗って、次戦は
チーム本来の形同士でよいゲームを見せてほしい。
 そのためにはまず楊洋を起用すること。バッティングもそうだが、捕手とし
ての技術、特にキャッチングはほかの捕手よりよい。また、Rayの意外性に賭け
るのではなく、もっと下位の気楽な打線におくことも肝要だろう。投手・野手の
ランナーへの警戒や、逆に攻撃時にランナーを動かしたりサインプレーをするな
ど、相手への揺さぶりも試みてほしい。とにかくいいゲームが見たい。
 でも、9回まで緊張感を会場全体に持たせたことには感謝いたします。   inserted by FC2 system