アジアシリーズ2005 チャイナスターズ − 興農牛

 アジアシリーズ2005、ついに開幕。ついこの間まで中国で見ていた選手たちをまた日本
で見られるなんてなんて運がいいんだ。
 しかし……… 客が少ないよ!客が!
 こんながらがらの東京ドームは久々にみた。これは一塁(中国)側からとった写真なので
三塁側興農応援席がうつっておりまして、この興農応戦席が、もっとも「人口密度」の高い
区域なのです。そう、ほかのところはもっと人がいないのです。推定観客300人ぐらい。地
元・日本の試合より観客がすくないのはしかたないとしても、大会初日の第一試合、ホスト
国としてもうすこしもりあげる工夫ができないものか?

 

 今度は上からとってみました。興農隊のゲーム前の
シートノック風景。スタンドが閑散としている様子が
おわかりになるとおもいます。

 

 そんな不景気なことばかり言っていても仕方ないの
で試合のレポートにはいりましょう。開会セレモニー
(だったら千葉ロッテもサムスンもそこだけ参加すれ
ばいいのに…)、両チームのメンバー発表、国歌吹奏
(台湾のほうは国歌ではありませんが…)を経て試合
開始。

 

 


スターティングラインアップ
 興農 チャイナ
SS 張家浩3B 侯鳳連
RF 余賢明2B 劉広標
CF 張建銘DH 楊国剛
3B 張泰山SS 張玉峰
1B 許国隆RF 林暁帆
2B 黄忠義C 王 偉
LF 羅松永CF 羅玉斌
C 葉君zhang1B 陳 哲
DH 陳宗甫LF 李 良
P 戦玉飛P 陳 kun

* zhang は「王ヘンに章」
* kun は「土ヘンに申」

 

 
 両先発投手。ともに130キロ台のストレートを中心とした組み立て。チャイナ・陳は先頭
張家浩こそ初球一邪飛でうちとるものの、以降の打者にはボール球を見極められ、なかなか
簡単にはうちとらせてもらえない。両チーム3回まで無得点なのだが、興農・戦玉飛の29球
に対してチャイナ・陳は40球を要した。三振も3つ奪っているのだが、どうも苦しんでいる
ような感はぬぐえない(四球は1つ)。
 大会初ヒットは初回、チャイナの劉広標が記録した。バットを折りながらセンターまえへ
はこんだヒット(右上写真のランナーが劉)。しかしこのランナーも、2回左中間へのヒッ
トで出塁した先頭打者・林暁帆も、あとがつづかず得点にはいたらない。
 興農の初ヒットは2回、四番の張泰山。レフトへのクリーンヒット。ライナーの打球は、
なんとかつまりながら打っているチャイナの各打者の打球とはかなりちがう。
 
 張泰山(49番)、興農応援席からひときわおおきな声援のおくられる注目選手。体格も
よく、確実にするどい打球を飛ばす。ホームランバッターというより中距離ヒッターか

 興農は4回、陳kunにおそいかかる。先頭の張建銘がレフトまえへヒット。四番張泰山は
1ボールからの二球目を打ち、打球はライナーで左中間へ。この打球がまたはやかったん
だ、これが。おかげで張泰山自身は一塁どまり。張建銘は三塁へ。一三塁となったところ
で許国隆の2−1からの五球目を陳kunが投じようと足をあげたところで張泰山がスタート、
あっさり二塁をおとしいれた。ランナーが出てもフォームのおおきい陳kunの隙を完全に
ついた。ソツがないなあ、興農。

        ↑張建銘(上)、張泰山(下)の連続ヒット               四番打者共演↑  

 

 

 こうしてゴロでも外野フライでも一点はいる状況をつくり、
許国隆はショートゴロ。ショート・張玉峰のバックホームおよ
ばず、興農が一点先制。このとき三塁へ走った張泰山が
キャッチャーからの送球でタッチアウトになる。

 

 

 

 

 そのウラ、チャイナも反撃とばかりに劉広標が今日二
本目のヒットとなるツーベースで出塁。楊国剛は2ボール
からの球に手を出してショートフライ。頼みの張玉峰はデッ
ドボールをうけて一二塁。五番林暁帆はなんと三球三振。手
も足も出ない。巨漢投手、戦玉飛に「振らされた」三振でした。
王偉は1−3からの球を無理に打ちにいくものの、どんづまり
のピッチャーゴロにしかならず、反撃ならず。

 そしてチャイナの反撃ムードがしぼんだ直後の5回表、さす
がの興農、一気にたたみかける。

 

 

 

 

 5回先頭の羅松永がセンターまえヒットで出塁。8番・葉と相対する。
ここで一塁へ牽制球を投じるのだが、これがなんとボークとなり、羅は
労せずして二塁へ。右の写真はそのボークの瞬間。
 葉は初球をバント。これがまた見事に打球を殺したうまいバントで、こ
れで1アウト三塁。これでまたヒットでなくても得点できる機会を得た興農。
つづく9番陳宗甫の打球は三塁へ。サードゴロ……かと思ったところでサード
侯鳳連がはじいた!球は転々レフトへ。せめて前に落としていればよかったん
だが……興農1点追加。
 

 

 

 

 なお一塁にランナーが残って打順は一番にもどって張家浩。
 このとき動きのある、いい写真がとれたので、以下にすこし
ならべてみます。

 

 

 

 


 これでランナー一二塁。2番余賢明はセンターフライを打ち上げ、2アウト。でもここ
でほっと一息ついているわけにはいかない…。
 前の打席ヒットを打っている3番張建銘。ボール、ファール、見逃しストライクでおい
こんだ4球目をたたいた打球は左中間方向へぐんぐんのび…
 
そのままスタンドへ!大会第一号のスリーランホームラン。左打者の左中間方向への打球があれだけのび
ればたいしたもの。試合後の本人のコメントは「好意外!」(びっくりした〜)でした。

 これで5−0、興農ペースになってきた感じ。しかしチャイナとしてはあせらず、とにか
く1点かえすことが大事。なにしろまだ1点もとってないんだから…。
 5回ウラ、1アウトから陳哲がヒットで出塁!しかし9番李良がランナーをせめて先の塁
にすすめよう…という意図のまるで見えないムチャ振りで空振りのあとピッチャーゴロにお
わる。一番・侯も三振でチェンジ。興農と違うのはこういうところかな…。
 6回、チャイナはピッチャーを交代。張力がマウンドへ。このピッチャー、私が上海で幾
度となく見たことのあるおなじみのピッチャー。こんなところであえるなんてねえ…としみ
じみするが、このピッチャー、そこそこのはやさのストレートとゆるい変化球のほぼ2種類
で押し通す感じのピッチャー大丈夫なんかな?はやさだけで言えば先発の陳よりははやくな
いし…。
 
 ところがこの張力が意外な(?)好投を見せたのです。
 ストレートは120キロ台から130キロ台程度なのに、そこに沈むような球(カーブかスライ
ダー?)をまぜているとあの興農打線が打てないのです。許国隆を三球三振にとるなど、2
奪三振。ひとつデッドボールをあたえ、バントで二塁まで送られるものの、被安打0、29球
投じて2イニング無失点の見事なピッチングでした。

 しかし張力がねばっている間もチャイナ打線は戦玉飛をうちくずせない。
  6回、敵失で劉広標、3打席連続出塁。
 

楊国剛、ファーストゴロでランナー入れかわり…

 
 

 
 7回ウラのチャイナは三者凡退。

  
  

 チャイナは8回から左サイドスローの趙全勝を投入。
  

  

 しかしこの変則左腕は興農にとってはたいしてめずらしくなかった(?)のか、先頭打者
三振のあと、張泰山ヒット、許国隆四球、黄忠義ヒットで満塁に。120キロ台のストレート
と110キロ前後の変化球で緩急をつけるのだが、球速が出ない分、じっくりみられるときつ
い。

  

  

 しかしここから趙全勝が驚異の粘りを見せた。7番羅を三球三振にしとめ、8番葉は
サードゴロ。ワンアウト満塁を無失点できりぬけたのだ。…でもそもそもこの大ピンチ
を作り出したのもご当人なわけで…。
  

 

 興農は8回にピッチャーを交代。郭勇志が登板。
 この郭が侯鳳連には内野安打を打たれ、パスボー
ルでセカンドへすすまれたものの、後続を断ち、あ
とは9回をのこすのみ。

 

 

 

 

 

 

 侯鳳連、劉広標のライトへの飛球が捕られたのを
見ていそいでセカンドへ帰塁(セーフ。) 

 

 

 

  
 9回表、先頭打者がツーベースで出塁するが、ここからまたしても張全勝のねばり。
上位三人を凡退させた。あとはウラ、チャイナは今大会初得点を記録できるのだろうか。

 興農はピッチャーを代える。克提茲。球が速い。今日投げたピッチャーのなかではもっ
ともはやいだろう。ただ、135キロぐらいでも「はやい!」と思ってしまうのだから、
「慣れ」というのは怖いものです。もちろん全部がそういう錯覚によるのではなく、140
キロをこえる速い球もありました。

   

     速球を打ちに行くが…

    最後の打者になるか?王偉

   

    センターへのフライで…

    ゲームセット!開幕戦は6−0で興農の勝利

   

 下馬評では興農の圧倒的有利であったわけだからチャイナスターズは善戦したと言えるの
かもしれないが、力でねじふせた、という勝負ではなかったように思う。個々人の資質、力
から見れば、興農もチャイナも遜色ない。すくなくともチャイナの主軸はそういうメンバー
である。ではなぜ6−0か。結局興農のほうが野球がうまかった、ということに尽きるだろ
う。チャイナ先発投手・陳の球速は相手先発投手と大差なかった(球威に差はあっただろう
が…)が、球をしっかり見極めて球数をなげさせ、甘い球が来たら打ちに来る興農打線の策
にはまり、四五回につかまった。序盤はどんどんストライクをとりにいっていたが、次第に
ボールが先行するようになってきたのも痛かった。これも興農打線があたえるプレッシャー
によってそうなったのかもしれない。対する興農の戦玉飛は序盤はその球威でチャイナの打
者のバットをおらせ、追い込まれたらそうそう簡単に打てないイメージを持ったチャイナの
打者がはやいカウントからボール球でもどんどん手を出してきたことで楽になった。チャイ
ナにとっては陳より球のおそい張力や趙全勝(ランナーはためたが…)がなぜ無失点できり
ぬけられたのか、がいい参考材料になるはずである。
 打撃面でも、個々のパワーなどには大差はない。ただ、ランナーが出て以降のバッティン
グには天地の隔たりがあった。ランナーをかえそうと思うのだろうか、塁上にランナーがい
るときほどムチャ振りが目についた。下位打者がこれをやってしまうと、ちょっと困る。ラ
ンナーがでるとじわじわと相手にプレッシャーをあたえ、得点につなげていた今日の興農の
攻撃を身にしみて感じたはずなので、次回以降に期待しましょう。

 と、くどくど書きましたが、やはりたのしいものです。日本で中国や台湾の選手のプレー
がみられるというのは。明日も、選手もがんばるでしょうが、わたしもがんばって2試合見
ます!
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